見えない自由がほしくて 銃を2007-11-22 Thu 18:26
まあ判決が出てからでもいいのだが、そうするとかえって好き勝手に書けなくなっちゃうかも知れないので書いておこう。
High Court to Weigh Ban on Gun Ownership Justices to Decide on Right to Keep Handgun - New York Times Justices To Rule On D.C. Gun Ban - washingtonpost.com連邦最高裁が第2修正について、銃保持を個人の権利として認めるか、腹を括った模様。 "The petition for a writ of certiorari is granted limited to the following question: Whether the following provisions -- D.C. Code ァァ 7-2502.02(a)(4), 22-4504(a), and 7-2507.02 -- violate the Second Amendment rights of individuals who are not affiliated with any state-regulated militia, but who wish to keep handguns and other firearms for private use in their homes?"なんか、第2修正は個人の権利を承認していることを前提としているみたいなサーシオレィラィの書きぶりだなぁ(笑) 第2修正のテクストも載せておきますか。 "A well regulated Militia, being necessary to the security of a free State, the right of the people to keep and bear Arms, shall not be infringed." 政策論としては、これだけ銃が“普及”している状況で保有を禁じるのは、規制に従った正直者がバカを見るだけで、あまり現実的ではない話ですが; 憲法論として、規制できない、政治部門にはそのような政策的余地は認められないとするのはどうなんだろうか。政府にとってはかなりキツイことになるんじゃないかなぁ。(*1)(*4) 特に近代国家の特徴(*2)はしばしば暴力の独占にあるとされる以上。 …あ、アメリカは前近代国家なのか!?(笑) 外から観察者だから見える議論配置の奇妙さもあって。 保守派は銃規制けしからん、と言うわけだが、ナイフの規制はどうなのだろう?法的には直接的には"Arms"の解釈問題。ナイフや斧の規制はアリだが銃の規制はダメ、というのは妙なポリシーに思えるが。<調べてない あるいは、銃権利論を一歩下がって世界のコンテクストに置いてみると、今現在も米軍はイラクやアフガンでひぃひぃ言っている。(ここ数週間は安定しているとの報告もあるが。) イラクの部族勢力やタリバン(の構成員)を武装解除するというのは、正しく彼らの権利を侵害している、論理的にはそう言えるはずなのだが、権利論者はどう答えるのか。 もちろんいくつかの回答は予想できて、その一は「合衆国憲法上の権利を議論しているのであってその他の国は関係ない」説。これはアメリカ例外論の問題系につながる。 あるいは、「ヤツらはテロリストだから関係ない」説。この説は「善良なる市民と悪人とは区別しうる」+「オレ(達)は善良なる市民であり、そのことは揺らぎ得ない」(+「悪人を排除しても構わない」)という命題から構成されているのだけれども、いずれもノーテンキに維持できる命題ではないはず。(*3)もっとも、こういう思考回路は別にアメリカ特有でもないし、たぶん、保守の問題系というものにつながっていくのだろう。 法解釈論としては、本件で原告Heller側が「自己防衛の権利」としてその主張を定式化しているのが気になるところ。実質論としては前述の政府の樹立根拠との緊張関係は腑分けされなければならないし、形式論としては「民兵Militia」という文言と緊張関係に立つ(はず)。 D.C.政府側はここら辺を突いて、文言解釈の好きなScaliaとかの関心を引こうとするのだろう。プラス、独立期の民兵の状況とかに関する歴史研究が大量に裁判所に流れ込みもするだろう。この戦術が功を奏するかは微妙だが。 リベラル派の論者のほうがむしろ個人の権利としての銃保持を認める議論をしているとどこかで読んだが(冒頭の各記事はちょっとぼやかし気味); 仮に今度最高裁が憲法上の権利としての銃保持をrecognizeするとすれば、保守派版のRoe v. Wade判決みたいな位置づけになるのだろう。 そうなると、「権利」をめぐる議論状況が入り組んでくると予想。一方の権利を擁護して他方の権利を擁護しないというのは、不可能なポジションではないかも知れないけれど、かなり特定性の高い社会の構想に依拠した主張になるだろうから、恐らく正当化のハードルは上がる。 ついでなのでリンクも張っておきましょ。 - 全米ライフル協会 http://www.nra.org/ こっちだけだと不公平ですかね。どこにしましょう。 - Brady銃犯罪防止キャンペーン http://www.bradycampaign.org/ ついでのついで、銃と中絶という話になったので。 物足りない部分はあるが(Lawrence v. Texas判決に言及がないのは明らかに問題)、「性と暴力」という切り口は面白い本だと思った。 *1 関連して、連邦議会が直接に立法していた状況から、D.C.独自の立法権を確保した際、まず最初にやったのが本件で問題の銃規制法というのも興味深い。連邦議会では政治的に銃規制法が通り難かったようだ。antebellum期にD.C.の奴隷制の採否が、実際上の効果は別にして、象徴的意味合いを持ったことを思い出させる。 *2 あえて「特長」と書かないでおこう(笑) *3 正当化が不可能とは言わない。 *4 や、権利として認定されてもしかるべき条件の下に規制は可能だってことは分かってますよ、とアピールしておく。(07/11/24 19:21追記) |
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