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2007.12.09 (Sun)

Not Even Justice, I Want to Get Truth

コメントにできる長さではなくなりましたので、エントリを起こしてトラバすることにします。
法と経済学に詳しいかはともかく、トラックバックを頂きましたので。
Don't Fear the Reaper : 日本法終了
「私にとって一番面白かったのは、HaleyとRamseyerの議論。日本人がなぜ訴訟嫌いなのか、いや、そもそも日本人が訴訟嫌いというのは本当か、…」
「非常にざっくりまとめてしまうと、Haleyは日本では「訴訟を起こすこと」は「非」効率的であると主張するのに対し、Ramseyerは訴訟を「起こさないで和解すること」が「効率的である」とする。」
「Ramseyerの主張は、結局は、予測可能性の高さに依拠せざるを得ない。予測可能性の高さは、法が硬直化していることの裏返しかもしれないが、そのことについての言及はないようだ。レヴィン先生はRamseyer流の理解について「正義はどこへいったの?」とコメントした。」
http://eastriver.exblog.jp/6908296/

HaleyもRamseyerも読んだのは随分前なのであやふやな記憶に頼るしかないが、私ならこういう視点で整理する、というのを箇条書き風に。

・紛争処理を紛争発生時から考えると、実体的には既存の資源をどちらに帰属させるかというゼロサム・ゲーム、手続を加味すると手続コストがかかるからマイナスサム・ゲームになってしまう。
そうすると、効率性の観点からは社会全体(と言ってもよくあるモデルでは原告・被告の2者)としては如何にマイナスを減らすかが政策目標となり、結局法定の=法廷の手続を如何に早く打ち切って、手続をフルに使うというコストを削減するか、という発想に行きがち。
無論、後ろにトライアルという重い手続が控えた上で弁護士主導で行われるプリトライアル(≒ディスカヴァリ)手続、というアメリカ民事訴訟法の特徴も影を落としている。
そういう意味で、正義=justice=司法制度は、最初から「どこかへいっちゃっている」。

・Haleyの議論とRamseyerの議論は排他的なものではなく、両立し得る。
いずれのほうが、相対的な訴訟数の少なさという現象をより説明できるのか、どの程度の割合で貢献しているのか、ということは検討の対象とし得るが、データセットが中途半端で計量的な検証は難しい。どのような民事紛争がどの位の数発生しているかを集めねばならないが、特に民事紛争一般を考えようとすれば、「紛争」概念それ自体ともかかわり、かなり困難だろう。

・Ramseyerの議論が交通事故という責任原因において比較的斉一的で、かつ裁判所が損害の認定も含めて定型的処理に努めてきた分野に依拠している分、Haleyの議論のほうが射程が長い。

・Ramseyerの議論にも政策的含意はある。予測可能性の高さが和解を含む裁判外の紛争処理を促進するという知見からは、手続コストの節減を政策目標として設定するのであれば、実体的な責任原因・責任の範囲の双方を含め、予測可能性を高めるべし、との政策提言につながる。

・このことを「法の硬直化」としてネガティヴに評価するかは、メタレベルの価値選択基準に依存する。
日本の学説でも、(イデオロギー的な動機は全く違うだろうが)損害の定型化等は有力に主張されてきている。

・Ramseyer説の最大の弱点は、ここ15~20年の状況を説明できないこと。下は戦後の民事訴訟事件新受件数の推移(*1)だが:
戦後の民事訴訟事件・新受件数

川島テーゼの妥当していた1970年代頃まで(*2)は件数は比較的低位安定しているが、簡裁事件およびそれに伴い合計件数が80年代前半に大幅な伸びを示し、後半に大きな落ち込みを見せた後、90年代以降着実に件数を増やしている。地裁事件も一貫して着実に増加している。
80年代を説明するのは難しいが(*3)、少なくともここ15~20年は訴訟件数はコンスタントに増加し、戦後最高を更新し続けている。この間、日本法が急速に予測可能性を減じたとは言えないはずで、予測可能性→裁判外紛争処理説はこれを説明できない。(*4)
この間の民事訴訟改革を指摘することで、Haley説のほうがより妥当性を主張できる。

【More・・・】

*1 司法統計年報から昔授業で作成したもの。1990年以前は5年毎のデータしかすぐに出てこなかったので荒っぽいグラフになっているが、六本先生の本
『日本の法と社会 』
  • 『日本の法と社会 』
  • 六本佳平
  • 有斐閣、2004年
  • ISBN=9784641027947
にあるグラフなどと比べても大体の傾向は正しく表されているはず。人口や経済規模による調整はしていないナマの数。X軸の目盛が美しくないのは私のエクセル技能の低さのせいです。ゴメンナサイ。
*2
『日本人の法意識 』
  • 『日本人の法意識 』
  • 川島武宜
  • 岩波書店/岩波新書、1967年
  • ISBN=9784004100430

*3 手元にないので確認できないが、六本先生の本は景気で説明していたと思う。
*4 但し、Ramseyer説は前記の射程の短さを逆手に取って、交通事故処理の範囲で妥当性を維持しようとすることは可能。
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テーマ : 法律全般 - ジャンル : 政治・経済

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