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2007.12.15 (Sat)

Wツインテール

今野緒雪『マリア様がみてる 薔薇の花かんむり』読了。(何でそんなの読んでるんだ、というツッコミは却下。)
年末には次の巻が出てしまうし、次巻以降、タイムリーに入手できない可能性も高い。節目の巻だし、感想を書いておこう。この巻の、と言うよりここしばらくの数巻の、だが。

【More・・・】

以下、「マリみて」を知らない方には意味不明の話になりますが、分からないのはまっとうな大人の証ですので次のエントリへどうぞ(汗)


さて、ようやっと祐巳の妹問題に決着がついたわけだが、どこまで遡るか。
可南子登場まで遡るとすれば『涼風さつさつ』は2003年7月1日付けだから、足掛け5年。アニメ第1期が2004年1月クールだから、一番盛り上がっている頃か。
自分が読み始めたのもこの頃で、手元の記録だと2004年3月にシリーズを大人買いしている。

当時は祐巳の妹論争で瞳子派と可南子派が大変なことになっていた(*1)。作者のほうもそれを受けてさっさと決着を付けられなくなっているのだろう、と思われてもいた。
自分はどちらのキャラにも思い入れはなかったが、話の流れからすると可南子だよなと思っていた。さもなければ、そもそも登場した意味自体がなくなってしまう。可南子が何かを抱えているのは描写されていたし、意図するかしないかはともかく祐巳の関与で問題が解決された形になって、妹にするのだろう、と(*2)

『特別でないただの一日』が2004年10月1日付。事後的に見ればここで可南子フラグ消滅、瞳子ルート確定ということになるし、(その頃書いたテクストを引っ張り出してみても*3)当時もそう読んでいる。
それでも当時は可南子派は根強くて不思議に思った。

『イン ライブラリー』(2004年12月25日付)の時点でも、特に瞳子派が瞳子不利に読んでいることを不思議に思う感想を書いている。これに対して自分は、瞳子ルート進行中と位置付けつつ、「祥子とミルクホールで苺牛乳」のエピソード(126頁*4)をその象徴として「will」(*5)の“本歌取り”として読んでいる。
あるいは17頁の祐巳の「前例」への疑問(の萌芽)はスール制度自体へ向けられた疑問、と読んだ上で、W妹の伏線として位置付ける可能性も検討している。しかし、結局はそうした方向へは展開しなかった。結局、制度それ自体については所与のものとして話は続いている。


というわけで『特一』が一つのターニング・ポイントになっているわけだが、正直、あまり褒められた出来ではない。作者が、急遽可南子ルートを消そうとして、無理やりそうした、との感は今でもある。
何がアレだって、この巻、祐巳が「祐巳」ではない。案の定抱えられていた可南子の問題を解決するエピソードなわけだが、そこに祐巳は基本的に関与しない。単純に関与しないだけでなく、むしろ積極的にスルーしている。

これは、祐巳ではない。

祐巳というのは、他人の問題にもついクビを突っ込んでしまうキャラではなかったか。自分の限界は理解しつつも、相手のためにできることをしようと飛び込んでいくことで信用を勝ち取ってきたというのが、彼女の「スーパー一般人」たる所以ではなかったか。
そういう不自然なキャラの使い方で可南子編の風呂敷を畳んでいて、巧くないなと思わざるを得なかった。

ただ、別の位置付けも試みていて、
ラスト、祥子の成長を感じさせるシーンでした。
妹依存度&独占欲が極めて高かった祥子が、ある意味突き放している辺り。
「二人の関係は一対一では安定しない。より広いコンテクストに定位されて初めて安定する」という「マリみて」のテーゼから考えると、可南子は、祥子が祐巳をいったん遠くから見るための触媒だった、可南子は、祐巳との関係よりも祥子との関係で重要性を持った、と位置づけることができそうです。
前巻まで可南子と関わる祐巳を見て、ようやっと「妹離れ」ができるようになった、と。
とも当時書いている。


しかしその後も瞳子にすんなり決まったわけでもなくて、3年かかっている。
ただ、その割には祐巳と瞳子が近付いていったことがどうも説得的ではない。
(『特一』のおかげでこちらのテンションが下がっていて読み込み不足というのもあるのかも知れないが。)
違和の最大の原因は、ドラマを作るために瞳子の基本設定を書き換えていること。最終的に出生の秘密と家族との緊張関係を持つとされたわけだが、これは当初の役回りである「何不自由なく育ってきた、気位の高いお嬢様」(*6)という設定とどう両立するかは、十分に説明されているようには思えない。(*7)(*8)

とまれ、紅薔薇に決着がついた。
現在、一番面白いのは何といっても黄薔薇、由乃の妹選び。生まれた時から一緒にいるのが当然だった令とは異なり、奈々は由乃にとって「初めての“他者”」とも言える存在のはずで、奈々の一挙手一投足に翻弄される、いわば「初恋」状態の由乃はカワイイし、キャラの奥行きも深まっている。

白薔薇は…平和だ。
何も起こらない。
同僚兼オタ仲間(女性、夫子あり)から「志摩子さんタイプでしょ」と言われて以来、志摩子を意識して読んでしまっている。小説の登場人物を意識するのも変な話だ(爆)


それにしても;
「マリみて」はこの時点に至っても無印と「銀杏の中の桜」(*9)(+「ロザリオの滴」(*10))が出色の出来。甘美な緊張感が丁寧かつテンポ良く書かれている。最早これを越えることはできないのか。

*1 「紅薔薇のつぼみの不在」(『チャオ ソレッラ!』所収)の可南子の「妹にはなりません」発言を根拠に可南子はない、と声高に主張する人がかなりいて、こんなに国語力のない人が多いのかと驚いたこともある。
*2 無印の祥子-祐巳がこの展開ですな。
*3 どこかの掲示板に書いた感想の下書きだと思う。
*4 引っ張り出してきた当時のテクストにそうメモしてあるだけで、作品中の実際の表現は現在手元では確認できないが。
*5 『いとしき歳月(後編)』所収。
*6 『チェリーブロッサム』『子羊たちの休暇』参照。
*7 『花かんむり』に出てきた水奏はいいキャラだと思った。もっと早く出てきていれば瞳子シナリオにもっと奥行きが増したのに、と思う。この期に及んで登場させても取って付けたような印象にしかならない。
*8 ツンデレ好きに転んだはずなのに何で瞳子はダメかな >俺
*9 『チェリーブロッサム』所収。
*10 『レイニーブルー』所収。
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テーマ : ライトノベル - ジャンル : 小説・文学

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