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2007.12.30 (Sun)

サブプライム問題

前々からエントリにしようとちまちま書いていたのだがタイミングを逸してしまった。だがこの話題は年内には書いておこう。
苦手なマクロ経済の問題に最早なっていて、一回り眺めるだけでは全体像は見えにくくなってしまった。
深化するドルの危機
2007年12月4日   田中 宇
http://tanakanews.com/071204dollar.htm

金融法にはあまり関心を持ってこなかったし、実際勉強もしていない。
ただ、数年前(≒LSで忙しくなる前)までは周囲の民商法系の人は皆な証券化のことをやっている印象があった。

ハイリスク(・ハイリターン)の債権もリスクの異なる債権と組み合わせた上で小口に切り分ければ(サンドイッチ(*1)のイメージか)手頃な商品になる、というのが金融工学の知恵だったはずだが、その手法が逆にどこに危険な債権が隠れているか分からないという危機感になって浮き足立っているのは皮肉。悪かったのはセオリーかアプリケーションかその間のインプリメンテーションか。

ハイリスクな債権が(も)含まれていることは最初から分かっていたしそれこそがこの手法のミソだったのだから、リスクがあることは織り込み済みで、それが顕在化しても粛々と損失処理すればいいだけではないか、というのが傍から見ている素人の感想。

個人的には渡米の頃以来、為替が円高に振れていてラッキー。
前々から「信用取引が無限定に膨らんでいるアメリカ経済はそのうち壊れる。円高に振れる」と言ってきたので(*2)、むしろ遅かったぐらいに思っている。(*3)


法的にもいろいろ話題は出てきているようです。
全体像がどうなっているのかワケが分からなくなっているのですが、ご関心の向きは追いかけられてみては。(で、整理して教えてください。)
In re Foreclosure Cases, 2007 U.S. Dist. LEXIS 84011 (N.D. Ohio, Oct. 31, 2007)
粛々と譲渡抵当を強制執行しようとしたが、権益がごちゃ混ぜにされた上で切り分けられているのでmortgage holderであることを立証できない!という問題。
Bills Would Let Judges Remake Mortgages - washingtonpost.com
Bankruptcy Legislation Aims To Prevent Foreclosures
By Dina ElBoghdady
Washington Post Staff Writer
Tuesday, November 20, 2007
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/11/19/AR2007111901327.html?wpisrc=newsletter
住居を奪われかねない債務者のために、破産法の改正案が出ているとのこと。
記事中で言及されている民主党側の法案はこれかな。
Emergency Home Ownership and Mortgage Equity Protection Act of 2007, 2007 H.R. 3609,
available at http://thomas.loc.gov/cgi-bin/query/z?c110:H.R.3609:
上院法案、共和党案は未確認。
破産法は数年前に債権者有利の方向で改正されたと了解しているのだが、振子が反対方向に振れたか。


こちらで見ていると、譲渡抵当の強制執行で住んでいる家を追い出されてしまう、けしからん!(and/orかわいそうだ!)という論調が強いように思われます。
来年が選挙イヤーなこともあって、党派を問わずに、ほとんど徳政令状態。
Bush Wins Agreement To Freeze Mortgages - washingtonpost.com
Hard-Up Owners Won't See Adjustable Rates Soar
By David Cho and Neil Irwin
Washington Post Staff Writers
Thursday, December 6, 2007
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/12/05/AR2007120501340.html?wpisrc=newsletterA
これまでがバブル的だったし、ミクロ経済学的な発想からは、こういう徳政令的なるものはモラル・ハザードを生むから良くないと了解するので、例えばこの記事にある
"Darren McKinney, 48, a renter in the District, said he has been waiting for housing prices to fall so he can buy a condo without resorting to a dubious loan. He turned down an opportunity to buy his 600-square-foot apartment for $310,000 in late 2004 because he thought it was 'absurdly overpriced.'
Now the government is rewarding people who made irresponsible decisions and bought homes beyond their means, he said.
'There are those of us who purposely sat on the sidelines during the course of the last three years while the senseless frenzy was going on, and we presumed the free market would be allowed to correct itself,' McKinney said. 'The government is now meddling in the market and looking to prop up lenders and borrowers alike, and those of us who wisely bided our time get screwed.'"
「これまでが異常に高過ぎたんだ。政府はそんなのに踊った人々を救うのか」という、この人の意見なんかに「もっともだ」と頷くのですが。
しかしこれだけマクロ的な影響が大きくなると、そんなことは言っていられないということなのだろうけど。


世間的に注目された状況になっているということで、個々の取引のアヤシゲな点も表に出て来易くなっています。
Countrywide Subpoenaed by Illinois - New York Times
By GRETCHEN MORGENSON
Published: December 13, 2007
"The Illinois suit against One Source Mortgage said the company lured borrowers with misrepresentations about the interest rates on their loans."
http://www.nytimes.com/2007/12/13/business/13lend.html?th&emc=th
取引条件の説明等でアヤシゲな金貸し実務があるので行政が出張ってきているということだが、民事法(契約法--不当表示とか非良心性とか)でも対応できるような話のような気が。そう思うのは自分が契約出身だからか。

うさんくさいfeeを貸し手はチャージしてるね、という話。
Dubious Fees Hit Borrowers in Foreclosures - New York Times
By GRETCHEN MORGENSON
Published: November 6, 2007
http://www.nytimes.com/2007/11/06/business/06mortgage.html
Foreclosure Charges by Lender Investigated - New York Times
By GRETCHEN MORGENSON
Published: November 28, 2007
http://www.nytimes.com/2007/11/28/business/28lend.html
信用が怪しくなった債務者に追い貸しをしているという話。
Broke but Still Borrowing - New York Times
By DAN MITCHELL
Published: September 15, 2007
http://www.nytimes.com/2007/09/15/technology/15online.html
こういった話は日本のサラ金問題(*4)ともパラレルだなぁ、と。

だからそれに対応した動きも、日本政府がサラ金規制を強化したのとパラレルに見える。
In Reversal, Fed Approves Plan to Curb Risky Lending - New York Times
By EDMUND L. ANDREWS
Published: December 19, 2007
http://www.nytimes.com/2007/12/19/business/19subprime.html?_r=1&th&emc=th&oref=slogin
Fed Takes Aim at Deceptive Home Lending Practices - washingtonpost.com
By David Cho
Washington Post Staff Writer
Wednesday, December 19, 2007
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/12/18/AR2007121800194.html?wpisrc=newsletter
議会側はヌルいと言っているようだが。
アメリカ的だと思うのは、こうした規制の動きに対して貸し手側が「それでは効率的な信用供給ができなくなってしまう」と(表から見える所で)反論している点。(でそれが報道でも紹介されている点。)(*5)
昨年(だったか)、日本で利息制限法等改正でサラ金規制が強化された際は、業者側はそんな声を上げる間もなく一方的にやられていたように思う。もちろんサラ金問題については官民双方に以前から批判的な見方が根強くあり、最高裁判決等もあって世論が動いたので一気に動いた、という政治過程(*6)は了解しているが。
個人的にはミクロ的な発想から、(手続規制の強化はともかく)いくら実体の利率を制限しても、そこに資金需要がある以上ヤミに潜るだけだ、と以前から考えていた(*7)ので、政策論について落ち着いて考える間もなく変わってしまったのは何だかなぁと思ったのを、アメリカの貸し手側の反論を聞いて思い出した。

【More・・・】

*1 日本語の意味で。アメリカ英語の"sandwich"はハンバーガーのような、日本ではまず「サンドイッチ」と呼ばないようなものも含む。
*2 と言って外貨預金を売りに来た生保の営業担当者を追い返した。正解。
*3 ん、何か前段と言っていることが違う気がするが…まぁいいか(笑)
*4
『下流喰い』
  • 『下流喰い??消費者金融の実態』
  • 須田慎一郎(著)
  • 筑摩書房/ちくま新書617、2006年
  • ISBN=9784480063250

*5 この政治情勢では実際の影響力は限定されるだろうが。
*6 そのちょっと前までは、チワワのCMに代表されるようにある意味花形産業扱いされ、不良債権処理が終わりつつあった銀行等も“収益源”として次々と進出していただけに、尚更落差は大きく感じた。
*7 もっとも、このことはサラ金問題は問題ではないということを意味しない。ただ、ミクロの問題ではなく、欲しいモノを買うだけの収入がないという、マクロ的な所得分配の問題であり、もっと言えばボードリヤール的な消費社会の問題だと位置付ける。なお、事業資金については、事業資金金融市場の非効率性(ダメなビジネスはさっさと畳む、ということも含めて)の問題だろうと了解している。
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テーマ : アメリカ合衆国 - ジャンル : 政治・経済

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