2017年06月 / 05月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫07月

--.--.-- (--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告  |  EDIT  |  Top↑

2009.04.04 (Sat)

あっけない結末

1996年のGore判決(*1)を軸とする、ここ20年ほどの合衆国最高裁の判例法は、連邦憲法第14修正のデュー・プロセス条項を使って懲罰的賠償を制限する方向で、明確な方向性を示している。
2007年2月のPhilip Morris v. Williams判決(*2)は、ある面、懲罰的賠償に対する憲法的規制の延長という一連の判例法の延長である一方で、従来の判例法が懲罰的賠償の「額」という量的な側面に焦点を合わせてきたのに対し、懲罰的賠償の基礎の限定--州は、原告以外の者について生じた被害を根拠として懲罰的賠償を課してはならない--という「質」的規制に踏み込んだ点で、一連の判例法とは異なった側面を有する。

ところで伝統的に不法行為法は州法の領域であったわけで、こうした形で連邦(最高)裁判所が連邦憲法を通じて規制を加えるというのは、州の側から見れば州の領域への干渉・侵害ということになる。
そうであるとすれば、州(の司法部)は、かかる連邦最高裁の介入に対し、その射程を縮減しようという方向に動くのももっともだ、ということになる。
例えば、Gore判決を受けてこれを延長・強化する形で懲罰的賠償に対する数字的限定(*3)を導入したCampbell判決(*4)に対し、差し戻しを受けたユタ州最高裁は(連邦最高裁の判示はより低い額を示唆していたにもかかわらず)上限ギリギリの懲罰的賠償を認めた。

Williams事件でも州は同様の抵抗を見せた。
差戻審であるオレゴン州最高裁は、かなり牽強付会と思われる手続上の理由を持ち出して、自らの元々の判断--連邦最高裁が問題視した判断--を維持した(*5)
無論、被告側がこれを放置するわけがないのであって、連邦最高裁に裁量上訴を申し立て、認められた。
3月31日、これについての判断が出された。
Philip Morris USA Inc. v. Williams, 2009 U.S. LEXIS 2493 (U.S. No. 07-1216, Mar. 31, 2009),
available at http://www.supremecourtus.gov/opinions/08pdf/07-1216.pdf.
"The writ of certiorari is dismissed as improvidently granted."
はいぃ?裁量上訴撤回ですか。オレゴン州最高裁の判断はお咎めなしですか。

最高裁判決を実質無視のオレゴン州裁判所の判断には流石の最高裁もお怒りか、と上訴を採った時には思ったのだが、結論はスルー。連邦制下の裁判所システムとしていいんだろうか?
もしかすると、懲罰的賠償法理の連邦最高裁での取扱について、Williams判決は行き過ぎじゃね、と裁判官の間で同様が生じた、とか読み込むのは適切ではなかろうが。

【More・・・】

*1 BMW of N. Am., Inc. v. Gore, 517 U.S. 559, 116 S. Ct. 1589 (1996).
*2 Philip Morris USA v. Williams, 549 U.S. 346, 127 S. Ct. 1057 (2007).
*3 10倍。もっとも細かい読めばもう少しニュアンスがある。
*4 State Farm Mut. Auto. Ins. Co. v. Campbell, 538 U.S. 408, 123 S. Ct. 1513 (2003).
*5 Williams v. Philip Morris, Inc., 176 P.3d 1255 (Or. 2008).
スポンサーサイト

テーマ : アメリカ合衆国 - ジャンル : 政治・経済

17:12  |  アメリカ法  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

コメントを投稿する


 管理者だけに表示  (非公開コメント投稿可能)

▲PageTop

Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://izw134.blog74.fc2.com/tb.php/369-1309f4f9

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | BLOGTOP | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。