2017年11月 / 10月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫12月

--.--.-- (--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告  |  EDIT  |  Top↑

2009.03.01 (Sun)

第1修正の重畳的要請

"Summum"なるキリスト教系新興宗教団体(?)が、ユタ州のとある(田舎?)町の公園に自分たちの教義のモットーのモニュメントを建てさせろ、と言ったら市政府に断れたので、第1修正・言論の自由違反を主張して訴えた事例。
Pleasant Grove City v. Summum, 2009 U.S. LEXIS 1636 (No. 07-665, Feb. 25, 2009)
available at http://www.supremecourtus.gov/opinions/08pdf/07-665.pdf
直観的には「そんな無茶な」という話なのでAlito執筆の法廷意見に8名同調、もう一人のSouterも結論同意で実質9(8+1):0の結論自体は首肯できるのだが(*1)
「そんなん、全部受け容れていたら公園がパンクするやん」という、法廷意見では最後のほうに触れられているプラグマティックな配慮が実際には一番利いていると思うのだが;
法律論としては、「政府の言論」か「パブリック・フォーラム」かという問題の建てられ方がして、「公園のモニュメントは政府の言論。故に第1修正の保護はなし。終わり。」という議論は、Stevens同意意見も注記するように些か乱暴な気もしないではない。事案の処理としては、実際上の考慮もあってこの結論でいいのだろうが、理論のほうではパンドラの箱を開けてしまったのではないかという印象もある。

また、Alito法廷意見は、メッセージの多義性・可変性も指摘するのだが、その前の「公園のモニュメントは政府の言論」という性質決定と一貫するであろうか。内容が不確定な“表現”を「言論」と呼ぶのは背理では?(*2)

この宗教団体がこの公園にモニュメントを建てることに拘ったのは、「十戒」のモニュメントが既に建っていたため。彼らは「十戒」を、教義上、ニセ、とまではいかなくともミスリーディングな教えだと考える。
従来のこの種の事案の典型だと--しばしば原告は無神論者であるわけだが--、このモニュメントは国教禁止違反だ、除けろ、という話になるわけだが、本件宗教団体はそうしなかった。それはダメだ、真の教えを掲げさせよ、と。
そうした意味で、本件は形式的には第1修正は第1修正でも、国教禁止条項ではなく言論の自由条項の問題として定式化されたが、同時に--Scalia同意意見の指摘するように--国教禁止条項の「影」の下で審理された。
そもそも従来、(宗教的インプリケーションを持つ)展示やモニュメントの合憲性が国教禁止条項の問題として定式化されていたこと自体、かかる展示やモニュメントが政府の行為であったことを前提としており、本件はその前提を前景化した(だけ)とも言える。
他方、じゃあ本件でそこにある「十戒」のモニュメントはどうよ、となった場合、本件でそこにあるそれ、はセーフであろう--当該モニュメントは、2005年のVan Orden判決(*3)で合憲とされたものとほぼ同じである;同一の団体が、同一の(世俗的な、と認定された)目的を以て全米的に設置キャンペーンを行っていたものの、結果である。
ただこのことは、これから新たに「十戒」のモニュメントを建造しようとする--一方でSummumの"Seven Aphorisms"のモニュメントを拒絶する--とすれば、同様には言い得ない、という点にも、留意されるべきだろう。その点で、Souter結論同意意見の慎重さが適切であるように思われる(*4)

関連して気になるのが、Van Orden判決に対しては言及があるのだが、これと同日に下された「十戒」の展示についての違憲判断であるMcCreary County判決(*5)に対する言及がないことである。両者は併せ読まないと、(「十戒」の)展示に関する判例の射程の範囲は分からない。

【関連】

米国型違憲審査制についての覚え書き - アメリカ法観察ノート
無神論者 - アメリカ法観察ノート

【More・・・】

*1 それでも第10巡回区はSummumの主張を認めていた。おっかない。
*2 まぁフランス系現代思想からはいろいろと突っ込まれるような気もするが。
*3 Van Orden v. Perry, 545 U.S. 677, 125 S. Ct. 2854 (2005).
*4 ところで、Souterは国教禁止事件において、厳格な立場が目立つような気がする。See, e.g., McCreary County, Ky. v. ACLU of Ky., 544 U.S. 845, 125 S. Ct. 2722 (2005).
*5 McCreary County, supra *4.
スポンサーサイト

テーマ : アメリカ合衆国 - ジャンル : 政治・経済

16:56  |  アメリカ法  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

コメントを投稿する


 管理者だけに表示  (非公開コメント投稿可能)

▲PageTop

Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://izw134.blog74.fc2.com/tb.php/358-a4618a0d

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | BLOGTOP | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。