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2008.11.04 (Tue)

歴史の一ページ

アパートの部屋を出ようとしたら、ドアが引っ掛かる。
よく見ると、ドアノブにドアタグが掛かっていた。
それが、これ:
ビラ3 投票日のバス
今日はバスもこんな様子。


公民権運動からone generationが経過した。

初のAfrican Americanの大統領、というのは確かに歴史的なことではあると考えるが、そのことばかり強調していると今回の選挙のコアを見失うと思う。
繰り返しになるが、人種は重要なファクターだが、唯一のファクターではないし、最大のファクターでもない。

このことは「もし民主党予備選挙を勝利したのがヒラリーだったら」(*1)という思考実験をしてみれば了解できる。
仮に「黒人大統領」/人種が選挙のコアであったとすれば、ヒラリーが候補だとすれば結果は変わるのであろうか。争点が(「女性大統領」/性別に?)入れ替わるのだろうか。
違うだろう。それ以外の状況が同じであれば、ヒラリーが候補であったとしても民主党の勝利であったことだろう。

むしろ、人種/「黒人性」が(*2)(決定的な要素として)問題とならなくなったからこそ、初のAfrican Americanの大統領が誕生するのだろう。

逆説的かも知れない。現に下層でstrugleしている人種的マイノリティにとっては今なお人種こそが決定的ファクターかも知れない。
だがこれが、公民権運動からone generationが経過した後の、到達点である。


では、お前は何が今般の選挙のコアだというのか、と問われれば、レーガン保守革命と共和党主導時代(*3)の終わり、と答える。
ニクソンなどの形で前触れは既に出ていたものの、レーガンの当選によって躍り出、政治の主要なdriving forceとして機能していた20世紀後半型「保守」が、いよいよ舞台の中央から退いた。既に2006年中間選挙で兆候は出ていたが、それがいよいよ決定的に具現した。
共和党 民主党
大統領
(選挙人獲得数)
ジョン・マケイン
162
バラク・オバマ
364
議会上院 40 57
議会下院 173 255
【随時】選挙人数・議席数、確定毎にアップデート。

これは、個人的な研究関心ないし課題とも関わる。
現在の(日本における)通説的なアメリカ法(の総論的)理解(*4)では、ニュー・ディール・リベラルとその(司)法面での分身であるウォーレン・コートと公民権運動(*5)をパラダイムとして把握する。そして、歴史はそれに向かって発展してきたと考える、ある種の進歩史観を採る。これは(現在においては大御所である)論者自身が学説を形成した時期のアメリカがそうであった、ということと同時に、論者自身の政治的態度ないし政策志向とも一致したものであった。

しかし、1980年以降、レーガン革命が進行すると共に、かかるパラダイムでは説明できない法現象が増えてくる。当初は例外として、あるいは反動として、位置付けることで回収できたかも知れない。
しかし、自分が研究を始めた頃はそれは既に20年近い歴史を持っていた。個別の法現象については皆な知っているはずなのだが、全体的な枠組は誰も打ち出していない。これは、やはり総括的に位置付ける枠組をきちんと打ち出さなければいけないだろう、と。(*6)

そんな問題意識でやってきたのだが、能力の問題か勤勉さの問題かその両方か、現実の時代の流れのほうが早/速かった。
時代の区切りを目の前にしたのは、不幸でもあり、幸いでもある。時代に取り残されてしまったかも知れないという意味で不幸であり、限界を明示的に確定できることにより説明理論の正確性/科学性を担保できるという意味で幸いである。
たぶん自分はこれから、1980年~2008年を記述することで生きていく。


さて、新政権の課題である。
先に新政権を、クリントン政権とは異なる性質のものとして位置付けた。
私見ではレーガン保守革命を(*5にいう意味で)ニュー・ディール・リベラルへの対抗として把握するわけだが、それでは新政権は民主党のニュー・ディール・リベラルの伝統へと回帰するのか。
分からない。
オバマ個人はニュー・ディール・リベラルの衣鉢を継ぐ人物だとは思う。
ただ、先日からの繰り返しであるが、(2006年時点から引き継ぐ所見であるが)今般の選挙結果は民主党が勝ったというより共和党がヘマをした、という面がある。そうだとすると、民主党の(伝統的)あり方がendorseされたと単純に言うことはできず、それは具体的には中道~center-rightの議員ないしそうした選挙区を持つ議員を身内に抱える、ということになる。
そうだとすれば、単純に回帰するとは言い難く、もう少し複雑な政治過程を辿ることになるだろう。
"It's not over"--選挙戦終盤 - アメリカ法観察ノート
「・新政権の政権運営は、初期は安定しない。 」
「・共和党のダメージは深刻。立て直しは困難で、今の大物は総取っ替え位が必要」
http://izw134.blog74.fc2.com/blog-entry-291.html

【関連】

"It's not over"--選挙戦終盤 - アメリカ法観察ノート
Re: サンスティーンを最高裁に! - アメリカ法観察ノート
不法行為改革の到達点とロビイング - アメリカ法観察ノート
米国型違憲審査制についての覚え書き - アメリカ法観察ノート
気分の問題 - アメリカ法観察ノート ヴォランティアの成立し得る空間 - アメリカ法観察ノート
教育・多様性・平等保護 - アメリカ法観察ノート
法律家の能力 - アメリカ法観察ノート
大統領選挙:若者の政治参加 - アメリカ法観察ノート
CAFAシンポ - アメリカ法観察ノート
オーストラリア政権交代 - アメリカ法観察ノート
Roberts Courtの保守傾向 - アメリカ法観察ノート "

【More・・・】

*1 それ以外の状況は全て同じと仮定。
*2 あるいは、性別/「女性性」が。但し、本当にこう←言えるかは、歴史のifを重ねることになるから、改めて問う必要があるかも知れない。
*3 この間、クリントン(夫)が2期8年大統領を務めた時代が含まれるが、この政権は民主党が政権奪還のために中道寄りに軌道を修正したものでクリントン自身民主党の本流とは言えない(言えなかった)ことに加え、1994年の中間選挙以降(2006年まで)共和党が議会で多数派を占めており、政策実行においてもそちらを睨みながら行わなければならなかった。このことから、本文の基本的な所見を反駁するものではないと考える。
*4 以下では通説的理解を代表するものとして田中英夫先生を念頭に置いてくれて構わない。
『英米法総論(上)』
  • 『英米法総論(上)』
  • 田中英夫(著)
  • 東京大学出版会、1980年
  • ISBN=9784130350518
『英米法総論(下)』
  • 『英米法総論(下)』
  • 田中英夫(著)
  • 東京大学出版会、1980年
  • ISBN=9784130350525
*5 このようにニュー・ディール期と戦後のウォーレン・コートや公民権運動を直結させるのは些か乱暴かも知れない。この間にはマッカーシー旋風も挟まれている。1950年代と60年代を(あるいは60年代と70年代を)順接でつなげるか逆説でつなげるかは、アメリカ法に限らずアメリカ史一般の問題として論者の史観の問われる事項であろう。ここでは「ニュー・ディール・リベラル」を「連邦主導のリベラル志向(者)」と位置付けることで、本文のように了解可能であると考える。
*6 いつまでも「例外」や「反動」で片付けるとすれば知的な怠慢であろうし、もし論者の政治的態度ないし政策志向と一貫しないが故に80年以降の動向をcontainするような態度があるとすれば、それは知的にhonestな態度とは言えないだろう。
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テーマ : アメリカ合衆国 - ジャンル : 政治・経済

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新大統領就任によせて

アパートにTVはない。 PCでCNN.comのストリーミングを見始めたが、イマイチ画質が悪かったのでキャンパス内のフードコートのTVでも見に行くかな...
2009/01/21(水) 15:47:48 | アメリカ法観察ノート

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