2017年04月 / 03月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫05月

--.--.-- (--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告  |  EDIT  |  Top↑

2008.06.01 (Sun)

哲学イルヨ

あー、「αシノドス」登録しようと思って忘れてた。
なので見落としを発見したので補足。

メルマガ「αシノドス」に掲載されたマーサ・ヌスバウムのインタビュー記事を、訳者の藤本拓自氏が自身のブログに転載している。
哲学と公共生活 - スマイル・トレーニング・センター
http://d.hatena.ne.jp/chaturanga/20080523/p1
『αシノドス』vol.2にヌスバウムの翻訳を寄稿しました - スマイル・トレーニング・センター
(「訳者解説」からの転載。) http://d.hatena.ne.jp/chaturanga/20080426/p1
冒頭でヌスバウムはアメリカにおける哲学の軽視を嘆き、(具体的にはオランダを参照して)ヨーロッパの状況と対比させている。
さらに藤本氏は、これを「哲学イルヨ問題」を取り扱ったものとし、氏が以前に翻訳・寄稿したローティの「哲学イラネ問題」と「あわせて読みたい」としている。

ヌスバウムもローティもちゃんと読んでいるわけではないので論評は控えるが、先日、話題にしたアメリカの「反知性主義」とアメリカ-ヨーロッパの対抗と重なるということで言及。
そうすると、ローティは“アメリカン”でヌスバウムはヨーロッパ的ということか。前者は分かる気がする。後者は…彼女は古典研究から出発したからということか。

ヌスバウムのインタビューのメインは、医療倫理、国際開発、文学といった諸分野における哲学のrelevancyを論ずる。
法への言及も含む(*1)


ちょっと細かい突っ込みになってしまいますが、一部法律関連の訳語についてコメント:
哲学と公共生活 - スマイル・トレーニング・センター
「もしその事務所が奉仕基本(料金無料)の訴訟を扱っているなら、」
原語は"pro bono"でしょうか…そうですね。
Eurozine - Philosophy and public life - Martha Nussbaum, Stelios Virvidakis Interview with Martha Nussbaum
"...if the firm takes on cases on a pro bono basis (charging no fees)..."
http://www.eurozine.com/articles/2007-01-05-nussbaum-en.html
田中英夫先生(『英米法辞典』)は「公益追求訴訟」としていますが、最近の実務家や法社会学者の書いているものだとカタカナで「プロボノ」(「プロ・ボノ」)とするケースが多いように思います。法律家以外は使わないので意訳してやるのは読者層を考慮すると適切ですが…って、Wikipediaにも載ってるな。
"~ basis"は何に基づいて弁護士報酬を算定するか(*2)、ということですので、私なら強く意訳すると
「もしその事務所が公益への貢献のために弁護士報酬無料で事件を引き受ける場合には」
といった辺りでしょうか。

哲学と公共生活 - スマイル・トレーニング・センター
「最良の刑事弁護士は、彼女に非常に刺激を受け、レイプ法を書き換え、もっと適切なものにしようとしています。」
具体的な刑事事件に批判的に言及した後でこのセンテンスが出てきて、「刑事弁護士」というとこの事件の被告人=訴追されている男性の弁護人を連想してしまったので、一瞬混乱しました。立法活動に携わっているのはそれとは別の人だと思われます。
原語は"the best criminal lawyers"で、"lawyer"の語感ともかかわるのですが、"lawyer"はもちろん「弁護士」でもあるのですが、もうちょっと広くアモルファスに、「法律の専門家」「法律の訓練を受けた人」縮めて「法律家」ぐらいのニュアンスかと思います。

さらに蛇足:
哲学と公共生活 - スマイル・トレーニング・センター
「実際、マッキンノンは、「ああそうね、それこそがいつもとっても残念に思っている、アンドレアのヒューマニズムなのよ」と言うことでしょう。」
このような女性の発言を「女言葉」で訳すのはジェンダー・ステレオタイプだと言われそうな気がして勇気が要るのですが、逆にフォーマルな言葉にするのもニュアンスが消えると言われそうな気がして、難しいところです(恐らくその辺りも考慮されて訳語を選択されているのだと思いますが)

【関連】

Versions of Democracy - アメリカ発祥の地でアメリカ法を思考する

【More・・・】

*1 ヌスバウムはロースクールの教授だったりするし。
*2 例えば"hourly basis"なら「時間制」(=時間単価が決まっていて、その事件にどれだけの時間を費やしたかで報酬を決める)。
スポンサーサイト

テーマ : 哲学/倫理学 - ジャンル : 学問・文化・芸術

20:55  |  アメリカ法  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

●コメントありがとうございます

コメントありがとうございます!訳者の藤本です。
ご指摘の件、とても勉強になります。訳に反映させていただいても良いですか?
"the best criminal lawyers"は、「最良の刑事関連の法律家」といった訳語になるのでしょうか?
最後の「女言葉」は、いつも悩むところですが、話し言葉ですし日本語ではこちらの方がむしろ自然かなと考えました。でもひっかかる方もおられるでしょうね……難しいところですが。ちなみに、一人称の表記もヴィルヴィダーキスは「私」で、ヌスバウムは「わたし」にしたのですが、ここらあたりも細かいですけど、問題含みかもしれません。
『αシノドス』vol.4ではこれも女性のシャンタル・ムフ、次号のvol.6も女性のヴァンダナ・シヴァのインタビュー記事を予定していて、同様の悩みをかかえております(笑)
藤本拓自 |  2008年06月02日(月) 18:00 |  URL |  【コメント編集】

> 藤本さま

ご丁寧にありがとうございます。差し出がましいかとも思いましたがご参考になったようでしたら幸いです。もちろん適宜ご参照下さい。

> "the best criminal lawyers"は、「最良の刑事関連の法律家」
「法」を補ってやって「刑事法を専門とする法律家」辺りが誤解を回避できるでしょうか。クドイので短くして「刑事法の専門家」などというのも考えられるかも知れません。

術語や独自の言い回しは自分のフィールドについてであれば把握しているわけですが、守備範囲を越えると見通しが利かなくなるのが怖いところですね。
私も例えば知的財産関連のテクストなどは、科学・技術関連の用語が頻出するのでおっかなびっくりです(笑)
IZW134 |  2008年06月03日(火) 13:38 |  URL |  【コメント編集】

コメントを投稿する


 管理者だけに表示  (非公開コメント投稿可能)

▲PageTop

Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://izw134.blog74.fc2.com/tb.php/203-cfa3e00f

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | BLOGTOP | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。