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2009.04.11 (Sat)

タバコ訴訟の未来

先のエントリで懲罰的賠償に関連して言及したWilliams判決は、タバコ訴訟でもある。
おそらくそのせいだろう、アメリカの判決にもかかわらず、Williams判決が出た時、NHKがニュースで報じていた。当時、目覚まし替わりにTVをタイマーで起動するように設定してあったのだが、ベッドの中でこのニュースを聞いて、「そこまで言うかー」と--懲罰的賠償を制限する方向の判決が出るだろうとは予想していたのだが--一気に眠気が覚めたものである。


現在、各地で継続中のタバコ訴訟は、第3波として整理されることが多いかと思う。
第1波はタバコ自体の危険性について、製造物責任、過失不法行為(negligence)といった訴訟原因に基づいて訴えようとしたものだが、原告側はほとんど勝てていない。
第2波は、州が原告となって、タバコによる州民への健康被害により健康保険等への財政的圧力がかかっているとするものだった。実質的に州側勝利の和解で決着が付いている。
このプロセスで、タバコの依存性や健康への悪影響について、タバコ会社(の経営陣)が知悉していたことがディスカヴァリ等によって明るみに出た。第3波訴訟はこれを受けたもので、にもかかわらずそれを隠し、あまつさえ健康によいというイメージの広告・ブランド戦略が執られたことを槍玉に挙げるのが基本形である。特に"light" "mild"といった表現が問題になることが多い。訴訟原因としては、(過失不法行為に加え)詐欺や不実表示といったコモン・ロー上のものであったり、あるいは取引の際の情報提供に関するより特定的な州制定法であったり、その組み合わせであったりする(*1)


ところでタバコのパッケージついては連邦規制がかかっている。
そうすると、そうした規制に従っている限り、パッケージの文言を問題とする州法上の訴訟は認められないんじゃね?という、当ブログでも何度か言及している論点が浮上する。
Altria Group, Inc. v. Good, 129 S. Ct. 538 (2008)
available at http://www.supremecourtus.gov/opinions/08pdf/07-562.pdf
昨年12月のこの判決は、こうした論点について取り扱い、結論として訴訟の維持を認めた。(*2)

のだが、自分的に気になったのは、専占に関する同判決の分析それ自体よりも、訴訟自体のあり方。
地裁の・専占肯定=被告勝訴のサマリ・ジャッジメントを引っ繰り返した(控訴裁判所の判断を維持した)(*3)判決なので、原告の請求本体については差し戻されてこれから、ということになる。

ところで第3波タバコ訴訟の訴訟形態としては、喫煙者が個人で原告となる類型もあるし、クラス・アクションになる場合もある。
Good判決はクラス・アクション。これに対してWilliams判決は喫煙者個人原告類型に近い。(厳密には違う(*4)。)

さて、Williams判決は先のエントリで触れた通り、原告以外の者について生じた被害を懲罰的賠償を課す基礎としてはならない、としたわけだが、そのリーズニングにはこの事件の訴訟原因が詐欺であったことが関連している。訴訟原因としての詐欺の構成要素には、表示の相手方が虚偽の表示をどう認識していたかという主観的要素がある。ところで原告本人はともかく、原告以外の者は裁判に現れていない以上、彼らの主観的認識について争う機会を被告は与えられていない。これはデュー・プロセス上、けしからんという論理である。
Williams判決のholdingを広く読むか狭く読むかも問題だが、狭く読むとしても、原告(≒被害者)の主観的認識が構成要件となっている訴訟原因には当てはまるというべきだろう。
ところで、クラス・アクションはどうか。クラス・アクションにおいても、クラス代表者以外の者については訴訟に直接には現れておらず、被告にその主観的認識を争う機会はない。
従って、Williams判決のロジックを延長すれば、こうしたクラス・アクションはデュー・プロセス上、認め難いことになる。
他方、もし個々のクラス構成員の主観的認識を争う機会を与えるとすれば、最早クラス・アクションとは言い難い。

このように、詐欺等、被害者の主観的認識を構成要件要素に含む訴訟原因に基づいている第3波タバコ訴訟のクラス・アクションの先行きは、明るいとは言えない。

【関連】

あっけない結末 - アメリカ法観察ノート
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