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2008.11.29 (Sat)

「脅迫」で逮捕された東大法学部OBについて

無論、「逮捕」というのはそれ自体、実体的評価を決定するものではないわけであるが;
また、表現の自由の大事な自分的には"clear and present danger"なき表現行為を規制することには慎重ではありたいが(*1)


との留保を付した上で、文科省官僚の殺害予告の容疑で逮捕された人物--東大法学部OB--について、一言。
文部科学省の局長らを1週間以内に殺害すると書いて逮捕された25才の元東大生、その正体と軌跡を追う - GIGAZINE
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20081129_realiste0/
realiste0についての覚書
http://anond.hatelabo.jp/20081129200805
自分も巡回するブログのコメント欄等でも暴れ回っていた人物であるので。
そしてあまりの稚拙さと“痛さ”に目を回していたのだが。だいたい教えを請うていながらその相手を罵倒するというのは論外だろう。自分は無関係の傍観者であったにもかかわらず怒鳴りつけたい衝動に駆られることもあったのだが、それに対して粘り強く対応されていたブログ主諸氏には頭が下がる。

ツッコミ所満載の言動を繰り返していた人物であるから全ての点にツッコンでいるとキリがないので、2点+1点のみ。

第一に、氏の「理想」の稚拙さである。何やら崇高な「理想」を抱いていたようであるのだが、(各所で問われていたにもかかわらず)それが何であるのかはまるで説明されることがなかった。
そんなもの、独りよがりの思い込みでしかない。
自らの立場と異なる立場への思いをめぐらせる想像力と、その上で自説を選び取る責任が、公共的討議に参加する前提である。そのような基本的態度を欠く人物が法曹とならなかったのは、喜ばなければならない。

第二に、氏の「教育」への思い入れと、それの裏返しである本件の動機としての逆恨みについてである。
学校で教えられることは全てではない、などということは当然の前提だろJK。それを批判的に相対化していくのが中等~高等教育で身に付けるべき能力であって、それができていないのならばそこまでの器だった、ということである。(*2)


と、基本的には見知らぬ他人であるにもかかわらずこのようにエントリを書いてしまうのは、大学教育とはどのようなものなのだろうかという問いを顧みずにはいられないからである。
前記の諸点は要するに市民として、少なくとも高等教育を受けた市民として当然身に付けておくべきvirtueであろうと思われるわけだが、しかしそのようなものを有していなくとも東大法学部に入学し、卒業できてしまった。

もっとも、本エントリは氏が責任能力を有する市民であることを前提としているが、情報を散見するとその前提自体確固たるものではないようである。
そうだとすれば、誰/如何なるアクターが氏をケアすべきだったのだろうか。大学、だろうか。
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テーマ : 政治・経済・時事問題 - ジャンル : 政治・経済

23:50  |  日本社会  |  TB(2)  |  CM(5)  |  EDIT  |  Top↑

2008.11.28 (Fri)

【書評】藤田政博『司法への市民参加の可能性』

裁判員候補通知が発送されたということで;
本自体はずっと以前に頂いていたのですが、コメントしていませんでした。
何かの間違いで選挙になって民主党が「裁判員制度実施停止」とか言い出して大勝しちゃったりすると時機を失してしまいますので、今の内に。

『司法への市民参加の可能性』
  • 『司法への市民参加の可能性--日本の陪審制度・裁判員制度の実証的研究』
  • 藤田政博(著)
  • 有斐閣、2008年
  • ISBN=9784641125247
本書は大きく2部に分かれる。
第1部 日本の陪審制度と市民参加の意義―導入から議論停止まで
  1. 第1章 日本の陪審導入過程の概観
  2. 第2章 成立した陪審制度
  3. 第3章 陪審法の停止
第2部 実証研究
  1. 第1章 問題の設定と分析の視角
  2. 第2章 日本人の「国民性」と裁判員制度
  3. 第3章 評議における発言の分析と協働の可能性の検討
  4. 第4章 評議体の構成と意思集約方法の問題--模擬裁判における調査による検討
  5. 第5章 総合考察--まとめと裁判員制度への示唆
終わりに
前半の第1部は、戦前日本に存在した陪審制度について、導入の経緯・制度自体の解説・運用の実際に関する歴史に関する記述である。
後半の第2部は、「司法への市民参加」に関する社会心理学実験・社会調査に基づき、その報告と分析がなされている。

著者の専門は法社会学・法と心理学であり、本書の叙述も実証的報告がメインである。従って、原データへアクセスしていない読者としては「勉強になりました」という以上のコメントはし難いわけであるが、しかしそれではあんまりなのでもうちょっと書いてみる。


歴史叙述のスタイル
著者の本来の専門は第2部に関連する分野であるが、第1部の歴史研究においてもその記述は極めて実証性が高い。法典編纂期から始めて、一次史料を丹念に掘り起こした叙述となっている。
その意味で「当時からそんなことを言っていた人がいたんだ」という側面への説得力は高いものの、史料それ自体に語らせていく論述スタイルはやや平板な印象も持った。導入に当たっての転換点はどこだったのか、そのdriving forceは何であったのか、といった点の解釈(=construction=構築)について、もっと踏み込むこともできたのではなかろうか。もっとも、それはhistorianの仕事であって、実証性を旨とするdisciplineから著者が意識的に選択した論述戦略であろう、ということも了解できるのであって、無い物ねだりではある。

陪審員の経験
さらに著者の歴史叙述は戦前の陪審制度の運用の実際に展開していくわけであるが、ここでやはり決定的に物足りないのは実際に陪審員を務めた当の市民の声が含まれていないことであろう。
これだけ裁判員制度の導入が騒ぎになって、それに対する市民の反対・抵抗論のコアが要は「オレはやりたくない」という点にある(*1)のだとすれば、「実際に日本でも陪審制をやっていたことがある」というだけでは不十分で、加えてその経験者の声、「大したことなかった」「何とかなった」あるいは「やっぱり厳しかった」というのが欲しい。無論この点は著者も意識しており、陪審(員)に接した法曹の報告という形で間接的に陪審員の様子が記述されているが、隔靴掻痒の感は否めない。史料的な制約であって(*2)(*3)、歴史研究としては如何ともし難い点ではあるのだが。

陪審説示
法律論から興味深かった点の一つが、事実認定と法律問題との切り分け/接点に関して、『陪審問書集』等に依拠する記述(136頁~)である。
両者を切り分けるデバイスとしての陪審説示の重要性はアメリカにおいても重視されているところである。ただ、アメリカの場合、説示をどうするかは陪審制それ自体の問いというよりは、問題となっている法律の各論的問題として位置付けられているように思える。そのような観点からすると、こうした具体的な陪審説示は刑法各論の問題として興味深い問いとして立ち現れてくるはずである。刑法学者はそのような作業をしていたのだろうか。裁判員制度に関連して今後なしていくであろうか。
また、アメリカでは、標準説示集を作成したり、具体的な事件との関係では両当事者の弁護士に原案を提出させる形で手続的な保護をなしていたりするわけであるが、そのような配慮があったのか、というのも気になる。

他の経験
もう一つ、「これもあっていいのでは」というのがあって、本書中では日本における「司法への市民参加」の経験としては専ら戦前の陪審員制度が論じられているわけだが、「日本における司法への市民参加の経験」は戦前の陪審制度に限定されない。
米国統治下の沖縄においては陪審制度が運用されていたし(*4)、あるいは日本国憲法下でも検察審査会制度はしばしば言及される。近時、検察審査会の権限は形式的にも実際上の検察による尊重という意味でも拡張傾向にあり、検察審査会経験者もその経験をポジティヴに捉えているとされる(*5)
また、時期的にもより最近(*6)の点であることも鑑みると、実際の経験者の声へのアクセスも容易である。(守秘義務の関連上、調査手続・方法・内容にはsensibilityが要求されるが。) 本書における関心が(題名にある通り)「国民性」とか「能力」として語られる司法への市民参加の(不)可能性にあるのだとすれば、こうした経験についても論述・分析を盛り込んでいくと、問題のより多角的な検討ができたであろう、と思われる。


社会心理学実験・社会調査から
さて、第1部での検討を受けて、「日本人は司法に参加できるか」という戦前から持続されていながら印象論を言い合うだけで実証的に解答されていない問いにつき、幾つかの側面について調査がなされ、分析が加えられている。(*7)
そこでの結論として得られた大まかな知見は、日本の市民もまぁまぁちゃんと議論して判断できる、というものとしてまとめられるだろう。(*8)
しかし、この結論を導く最大の制約は(本書中でも留保が付されているが)、これらの実験が実験ボランティアや(弁護士会等による)裁判員関連イベントへの参加者を対象としていることであろう。そうした人々は一般に裁判員制度や司法一般に対して(少なくとも相対的には)高い意識と関心を持っているであろうことは容易に想像できるのであって、広く市民から抽選で選ばれる裁判員について同様に言えるかは慎重にならなければならない。

個人的には裁判員制度については(積極的な賛否は脇に置いておいて*9)「何だかんだ言って始まってしまえば何とかなってしまうんではないの」という感触を持っている(*10)(*11)のだが、本書の報告・分析はそれをサポートするエビデンスとして読んだ。


「国民性」「能力」から司法への市民参加に反対する意見は、戦前の陪審制の導入以前からあった。しかしそれが延々と繰り返されつつもさっぱり決着しないのは、結局論者が(いずれの立場に立つにせよ)個人的な直観以上の根拠を提出していないからであって、そうだとするといつまで経っても水掛け論にしかならない(*12)
「ちゃんと実証的に調べようぜ」というのが、本書の一番のメッセージ、ということになる。(*13)

テーマ : 法律全般 - ジャンル : 政治・経済

20:49  |  日本社会  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2008.11.27 (Thu)

しょんぼりターキー

感謝祭ということで、C教授が留学生等をパーティーに招待した。

出かけようとしたら、バスが来ない。週末と同じと思っていたら、よく見ると祝日ダイヤは夕方やたら早く終わっていて、既に最終バスを逃していた。

仕方がないので持って行くつもりだったsakeをしょんぼりと手酌することにする。

不幸中の幸いは「来たい人はいらっしゃい」というinvitationで必ず行くとsign upはしていなかったことか。でも若干名は「izw134来ないな」と思っていたことだろう。週明けには頭を下げて回らないと。
21:53  |  身辺雑記  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2008.11.23 (Sun)

歴史感覚

物心ついてから、記憶に残っている最初の戦争はフォークランド紛争だった。

小中学校の頃、TVのニュースやドキュメンタリーでしばしば「ベトナム戦争の~」という枕詞を伴ったレポートを目にした。「…だから?」という感想をいつも持った。

大学という場に長くいると、もっと若い人が学生としてやって来る。
最近の学部生と話していると、「ソ連?冷戦?受験勉強で出てきました!」といった案配である。
私くらいが冷戦を--そして全面核戦争の恐怖を--肌で知っている最後の世代ということになるのだろう。

だが、その関係を引き直せば、自分が子供の頃の大人にとっては、きっとベトナム戦争がアクチュアルな出来事であったのだろう、ということにも思い至る。
one generationは30年。人が入れ替わるには十分な時間だし、歴史上の事件の見方は人の入れ替わりによって当然のように変化する。
だからこそ、歴史とは今に至るまで続いているものであること、その時々の人々にとってはまさに現前する体験であったことが、だんだん分かる年齢になってきている。
「お若いの! あんたが生まれた瞬間に歴史が始まったわけじゃないんだぜ」 - ピアノ・ファイア
http://d.hatena.ne.jp/izumino/20081120/p1
23:08  |  日本社会  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2008.11.22 (Sat)

カリフォルニアの州民投票・ロスタイムの争い

同性婚を排除するカリフォルニアの州民投票”Proposition 8"の問題は裁判所にもつれ込んでいるわけだが;
News Analysis - With Same-Sex Marriage, a Court Takes on the People’s Voice - NYTimes.com
By JESSE McKINLEY
Published: November 20, 2008
"Opponents of the measure say it amounts to a major revision of the Constitution, not an amendment, and thus would require legislative approval." http://www.nytimes.com/2008/11/21/us/21marriage.html?emc=eta1
一瞬、(日本国)憲法にいう憲法改正限界論を思い出してしまったが;
そういうことではなく、カリフォルニア州憲法の改正にはその程度に応じて"revision"と"amendment"の2種類のやり方がある、というもっぱら手続的な話のようである。(*1)
…もっとも当該論点がどちらに属するかは極めて実体的な問いかも知れないが。

さらに裁判官公選制度がこの問題に陰を投げかける。
実際、1986年に死刑問題等をめぐってカリフォルニアは長官を含む州最高裁裁判官を選挙で取り替えたことは有名。

【関連】

中絶関係の州民投票 - アメリカ法観察ノート

テーマ : アメリカ合衆国 - ジャンル : 政治・経済

23:49  |  アメリカ法  |  TB(1)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2008.11.22 (Sat)

Guantanamo問題も終盤か

Judge Declares Five Detainees Held Illegally - NYTimes.com
By WILLIAM GLABERSON
Published: November 20, 2008
http://www.nytimes.com/2008/11/21/us/21guantanamo.html?_r=1&emc=eta1
だが、裁判所の外のほうの風向きの変化のほうが先行してしまった気もしないではない。

【関連】

世界の中の連邦最高裁 - アメリカ法観察ノート
23:48  |  アメリカ法  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2008.11.19 (Wed)

Black Friday!?

既に帰宅することにはとっぷり日も暮れている季節である。

帰路、バスから外を見て「何か違う」と思ったら、道路にイルミネーションが。
夕飯を調達しに寄ったショッピング・モールではツリー等の飾り付け。

カレンダーの関係で感謝祭は来週だが、小売店は今週からクリスマス商戦を始めるようである。
…この景気後退で人々の財布のヒモは固いだろうが。
23:21  |  身辺雑記  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2008.11.17 (Mon)

private attorney general

"... While Congress can constitutionally authorize no one, in the absence of an actual justiciable controversy, to bring a suit for the judicial determination either of the constitutionality of a statute or the scope of powers conferred by a statute upon government officers, it can constitutionally authorize one of its own officials, such as the Attorney General, to bring a proceeding to prevent another official from acting in violation of his statutory powers; for then an actual controversy exists, and the Attorney General can properly be vested with authority, in such a controversy, to vindicate the interest of the public or the government. Instead of designating the Attorney General, or some other public officer, to bring such proceedings, Congress can constitutionally enact a statute conferring on any non-official person, or on a designated group of non-official persons, authority to bring a suit to prevent action by an officer in violation of his statutory powers; for then, in like manner, there is an actual controversy, and there is nothing constitutionally prohibiting Congress from empowering any person, offcial or not, to institute a proceeding involving such a controversy, even if the sole purpose is to vindicate the public interest. Such persons, so authorized, are, so to speak, private Attorney Generals."
Associated Indus. of N.Y. State, Inc. v. Ickes, 134 F.2d 694, 704 (2d Cir. 1943) (Frank, J.), vacated as moot, 320 U.S. 707 (1943).
元々は"cases or controversies"要件の問題として出てきたのか。積極的に「私人に法を実現させるべし」というよりは、消極的に「(1)法を実現させるべく私人に授権する立法を議会が行うことも許容されるし、(2)その場合の訴訟は争訟性の要件を満たす」、と。
タイミング的にも論点的にもニュー・ディール~戦中期経済統制立法のコンテクスト。

というか、Jerome Frankが言い出しっぺだったんだ。
"private attorney general"で検索をかけると、これより早いのが2件引っ掛かるがガセっぽい。逆に、同年(1943年)の判決で既にこのフレーズに言及する判決が現れており、受容のペースは速かったものと思われる。

テーマ : アメリカ合衆国 - ジャンル : 政治・経済

23:23  |  英米法の言葉  |  TB(1)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2008.11.15 (Sat)

党派的選挙による裁判官選任+政治資金=?

先日、「党派的選挙においてお金は言論かも…」と書いたわけだが;


アメリカでは党派的選挙によって選出されるのは立法部・執行部に限らず、州の司法部もそうである(*1)
で、党派的選挙をやるということは、選挙活動もやる。
で、選挙活動をやるということは、そのための献金も受け取る(*2)
だがこれが中立性に疑問符を付けるのは確かなわけで、特に大口献金をした者--多くの場合、企業やその業界団体--が当事者の場合には。

で、そのような場合に献金を受け(て当選し)た裁判官は、裁判体から退かなければならないか(*3)、という問いを連邦最高裁が採り上げることにしたそうで。
Justices Agree to Hear Case on Anti-Clinton Film - NYTimes.com
"Do the due process protections of the Constitution require judges to disqualify themselves when people appearing before them have spent considerable sums to support their candidacies?"
http://www.nytimes.com/2008/11/15/washington/15scotus.html?emc=eta1
結論次第ではかなり大きなインパクトを持つ判断になるだろう。outrightに裁判に関与できないとされると、伝統ある党派的選挙による裁判官選出に大きな影響を与えるだろう、ということで備忘メモ。

ちょっと面白いのは、この事件の原告側(=ビジネスに挑戦している側)の弁護士がOlsonなことだ。Bush v. GoreでBush側に立ち、政権成立後は訟務長官になった、Olson。


この論点は前にも報道を読んだなー、と思ったら
The Selling of the Judiciary: Campaign Cash ‘in the Courtroom’ - New York Times
By DOROTHY SAMUELS
Published: April 15, 2008
http://www.nytimes.com/2008/04/15/opinion/15tues4.html?scp=1&sq=Selling%20of%20the%20Judiciary&st=cse
同じ事件だった。
でもこれではなくて、ビジネス側の系統的な献金で州裁判所がプロ・ビジネス化しているという話だったのだが…

【関連】

お金=言論? - アメリカ法観察ノート
不法行為改革の到達点とロビイング - アメリカ法観察ノート
Versions of Democracy - アメリカ法観察ノート
党派的選挙による裁判官選任 - アメリカ法観察ノート
Tribe v. Olson - アメリカ法観察ノート

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21:21  |  アメリカ法  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2008.11.09 (Sun)

Heat is Included in Rent

まだ積もってはいないが雪もちらつくようになってきた。

アパートの部屋の暖房のスイッチをようやっと発見した。
こんな所に隠れていたとは。
これで凍えずに済む。
20:10  |  身辺雑記  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2008.11.09 (Sun)

中絶関係の州民投票

そろそろ選挙ネタは終わりにしたいが、もう一つだけ書いておく。

カリフォルニアの同性婚関係のものの他に注目されていた州民投票として、サウスダコタの妊娠中絶をほとんど認めなくする提案があった。
州知事自らRoe v. Wade判決を覆すためのものだと公言していた提案であったが、結果は20万余票(約55%)対17万票弱(約45%)で否決。
差し当たってはRoe判決を正面から覆す事案が出てくることは遠のいた。

コロラドは生命の定義を受精の時点から、とする憲法修正が、73%対27%で否決。
これはもちろん妊娠中絶に絡んだものではあるが、それに限らず、もし可決されていればある種の避妊法や生殖技術、バイオ技術に影響を及ぼし得るものであった。

今回は同性カップル関係では保守的な結論が目立つが、妊娠中絶関係ではリベラル側が勝っている。
これが現在の平均的な感覚、ということか。

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15:48  |  アメリカ法  |  TB(1)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2008.11.08 (Sat)

お金=言論?

アメリカにおいては、政治資金規制の問題は第1修正・言論の自由の問題として語られる。
このことを初めて知った時、「そんなバカな」と思った。
でもそうなのである。
Buckley v. Valeo, 424 U.S. 1, 96 S. Ct. 612 (1976).

だが、現地で選挙運動を見ていると、お金=言論というのも「そうなのかも」という気がしてきた。
TVコマーシャルをどう流すか(*1)
パンフレット・ビラをどう配るか。(*2)
候補者を応援する運動員たる「ボランティア」も、しばしば"payed volunteer"だったりする(*3)
特に民主党予備選挙でオバマとヒラリーで差が付いたのが、献金とその使用(特にタイミング)に関する戦略の差であった。

井上達夫先生がよく「言論の自由ばかり語っても、全ての出版が統制経済下に置かれたら意味がない」旨、言うのと関係あるかも知れない。

どちらかというと政治資金規正に積極的なのは、財界からの大規模な寄付を集めるのに劣る民主党の側なのだが、今回オバマ陣営が(個人から薄く広く献金を募る戦略に成功したこともあり)マケイン陣営よりも潤沢な資金を利用できたことから、民主党の政治資金規正に対する考え方が変わりつつあるとも。
Political Memo - What Happens to Public Financing, When Obama Thrived Without It? - NYTimes.com
By MICHAEL LUO
Published: November 2, 2008
http://www.nytimes.com/2008/11/03/us/politics/03donors.html?ei=5070&emc=eta1

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22:29  |  アメリカ法  |  TB(1)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2008.11.08 (Sat)

うたかたの夢

Voters approve Proposition 8 banning same-sex marriages - Los Angeles Times
Passage of Prop.8 throws thousands of same-sex unions into doubt.
By Jessica Garrison, Cara Mia DiMassa and Richard C. Paddock
November 5, 2008
http://www.latimes.com/news/local/la-me-gaymarriage5-2008nov05,0,1545381.story
5月の州最高裁の同性婚禁止違憲判決を受け、これを(実質的に)覆すための州憲法修正が、今週の選挙と一緒に州民投票にかけられていた。
このProposition 8"Eliminates Right of Same-Sex Couples to Marry"は、州憲法に
Only marriage between a man and a woman is valid or recognized in California.
との条項を追加するもの(*1)

以前、州最高裁判決の時点で
カリフォルニア同性婚禁止違憲判決 - アメリカ法観察ノート
「それでは反対派の州民投票の結果はどうなるかと予想すれば、読み切れない。
カリフォルニアだけに、憲法修正なし=本判決の維持、というほうがやや優勢、あたりか。」
http://izw134.blog74.fc2.com/blog-entry-189.html
と書いたわけだが、外れた。
結果は約524.5万票(52.4%)対約493万票(47.6%)で、提案は可決。
この差を大きいと見るか小さいと見るか。見解が割れているところを提案賛成=同性婚反対派が競り勝った、と自分は見る。何でもアリのカリフォルニアでも難しいんだな…
接戦に重要な役割を果たしたのはモルモン教のようである。
Backlash at Mormons over work to ban gay marriage ban jells into call for Utah boycott -- Courant.com
By BROCK VERGAKIS | Associated Press Writer
7:32 PM EST, November 7, 2008
http://www.courant.com/news/nationworld/nation/wire/sns-ap-mormon-backlash-boycott,0,5607804.story
Mormons Tipped Scale in Ban on Gay Marriage - NYTimes.com
By JESSE McKINLEY and KIRK JOHNSON
Published: November 14, 2008
http://www.nytimes.com/2008/11/15/us/politics/15marriage.html?emc=eta1
【2008/11/15追記】

但し、これを単純に「社会的保守の勝利」と描写するのはいささかnaiveである。(ある種の人々にとって)皮肉なことであるが、この結果はオバマの勝利とリンクしている。
オバマ陣営の選挙戦略の一つとして、マイノリティを中心に普段/これまで投票していなかった層を掘り起こして投票所に向かわせた、というものがある。
ところが黒人もヒスパニックも、Proposition 8については賛成票=同性婚反対の側に票を投じており、これが可決の大きな原動力になった模様(*2)

なお、他にアリゾナとフロリダでも同様の憲法修正が成立している。
今回のカリフォルニアの場合に特徴的なのが、州最高裁が同性婚を認めるべしという(憲法)判断をした後で、それを覆す州憲法修正が成立したことである。同様の憲法修正を有している州はそのような判決なしで提案・成立した。他方、同様の判決がなされた州の内、マサチューセッツは議会が憲法修正の発議を握りつぶした形になるし、コネチカットは判決から日が浅いので具体的な対応はこれからだろう。(*3)

というわけでカリフォルニアでは同性婚が認められなくなったわけだが(*4)5月の判決以降、結婚した同性カップルはかなりいるわけで、その法的statusは厄介な論点ということになる。
州司法長官の見解は「未だ有効」というもので、まぁ普通に考えればそうだろう(*5)。一応、遡及的に5月の判決を否定する、と解する余地も皆無ではないと思うが…違憲判決を出した当の裁判所がそう解釈する可能性は低いだろう。
Backers focused Prop. 8 battle beyond marriage - Los Angeles Times
"California Atty. Gen. Jerry Brown has said the marriages performed between June 17 and Tuesday will remain valid -- but legal experts expect the marriages to be challenged and say there is no clear answer as to what the courts will decide."
http://www.latimes.com/news/la-me-gaymarriage6-2008nov06,0,4263422,full.story
そうだとすると、この5ヶ月間に婚姻関係に入った同性カップルとが、今後とも残り続けることになり、難しい時際法・人際法上の論点を提起し続けることになる。5月の判決を差し止めておけばややこしい問題は発生せずに済んだのに。
カリフォルニア同性婚禁止違憲判決 - アメリカ法観察ノート
「この判決があっさり発効するとは考えにくいわけで、反対派は州憲法改正を発議して、今秋の選挙の際に一緒に州民投票に付すでしょうな。その際には判決執行のstayが申し立てられることは確実だし、裁判所は認めると予想。」
しかし別の見方をすれば、婚姻関係にある同性カップルが残り続けることで、社会に受け容れられていくことになる一里塚になる、可能性もあるかも知れない。


ところで、このPropositon 8は("8"であることから明らかなように)今回州民投票にかかっていた唯一の提案ではない。
高速鉄道の建設のための州債の発行に関するものは日本語でも報道されているようだが;
他に目立つものというと: Proposition 2は、家畜が動けるスペースを確保するよう、業者に義務付けるもの。(退役軍人に対する有利な貸付に関するProposition 12に続き)2番目の賛成票で可決されている。実質的には養鶏場のニワトリのカゴが違法化されることから、州内の養鶏業(≒タマゴ業者)が壊滅的な打撃を受けると考えられている。ナマナマしいのは、この提案の推進側を州外の養鶏業者がサポートしていたことだ。

Proposition 4は未成年者の中絶について両親への通知を義務付ける憲法修正だが、これは否決。

Proposition 9は、犯罪被害者に権利を付与し、犯罪者の権利を制限する憲法修正。可決。

【関連】

コネチカットの場合 - アメリカ法観察ノート
Summmer of Love - アメリカ法観察ノート
団結 時に衝突 あとくされないように とりあえず円満 - アメリカ法観察ノート
カリフォルニア同性婚禁止違憲判決 - アメリカ法観察ノート

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01:37  |  アメリカ法  |  TB(1)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2008.11.04 (Tue)

歴史の一ページ

アパートの部屋を出ようとしたら、ドアが引っ掛かる。
よく見ると、ドアノブにドアタグが掛かっていた。
それが、これ:
ビラ3 投票日のバス
今日はバスもこんな様子。


公民権運動からone generationが経過した。

初のAfrican Americanの大統領、というのは確かに歴史的なことではあると考えるが、そのことばかり強調していると今回の選挙のコアを見失うと思う。
繰り返しになるが、人種は重要なファクターだが、唯一のファクターではないし、最大のファクターでもない。

このことは「もし民主党予備選挙を勝利したのがヒラリーだったら」(*1)という思考実験をしてみれば了解できる。
仮に「黒人大統領」/人種が選挙のコアであったとすれば、ヒラリーが候補だとすれば結果は変わるのであろうか。争点が(「女性大統領」/性別に?)入れ替わるのだろうか。
違うだろう。それ以外の状況が同じであれば、ヒラリーが候補であったとしても民主党の勝利であったことだろう。

むしろ、人種/「黒人性」が(*2)(決定的な要素として)問題とならなくなったからこそ、初のAfrican Americanの大統領が誕生するのだろう。

逆説的かも知れない。現に下層でstrugleしている人種的マイノリティにとっては今なお人種こそが決定的ファクターかも知れない。
だがこれが、公民権運動からone generationが経過した後の、到達点である。


では、お前は何が今般の選挙のコアだというのか、と問われれば、レーガン保守革命と共和党主導時代(*3)の終わり、と答える。
ニクソンなどの形で前触れは既に出ていたものの、レーガンの当選によって躍り出、政治の主要なdriving forceとして機能していた20世紀後半型「保守」が、いよいよ舞台の中央から退いた。既に2006年中間選挙で兆候は出ていたが、それがいよいよ決定的に具現した。
共和党 民主党
大統領
(選挙人獲得数)
ジョン・マケイン
162
バラク・オバマ
364
議会上院 40 57
議会下院 173 255
【随時】選挙人数・議席数、確定毎にアップデート。

これは、個人的な研究関心ないし課題とも関わる。
現在の(日本における)通説的なアメリカ法(の総論的)理解(*4)では、ニュー・ディール・リベラルとその(司)法面での分身であるウォーレン・コートと公民権運動(*5)をパラダイムとして把握する。そして、歴史はそれに向かって発展してきたと考える、ある種の進歩史観を採る。これは(現在においては大御所である)論者自身が学説を形成した時期のアメリカがそうであった、ということと同時に、論者自身の政治的態度ないし政策志向とも一致したものであった。

しかし、1980年以降、レーガン革命が進行すると共に、かかるパラダイムでは説明できない法現象が増えてくる。当初は例外として、あるいは反動として、位置付けることで回収できたかも知れない。
しかし、自分が研究を始めた頃はそれは既に20年近い歴史を持っていた。個別の法現象については皆な知っているはずなのだが、全体的な枠組は誰も打ち出していない。これは、やはり総括的に位置付ける枠組をきちんと打ち出さなければいけないだろう、と。(*6)

そんな問題意識でやってきたのだが、能力の問題か勤勉さの問題かその両方か、現実の時代の流れのほうが早/速かった。
時代の区切りを目の前にしたのは、不幸でもあり、幸いでもある。時代に取り残されてしまったかも知れないという意味で不幸であり、限界を明示的に確定できることにより説明理論の正確性/科学性を担保できるという意味で幸いである。
たぶん自分はこれから、1980年~2008年を記述することで生きていく。


さて、新政権の課題である。
先に新政権を、クリントン政権とは異なる性質のものとして位置付けた。
私見ではレーガン保守革命を(*5にいう意味で)ニュー・ディール・リベラルへの対抗として把握するわけだが、それでは新政権は民主党のニュー・ディール・リベラルの伝統へと回帰するのか。
分からない。
オバマ個人はニュー・ディール・リベラルの衣鉢を継ぐ人物だとは思う。
ただ、先日からの繰り返しであるが、(2006年時点から引き継ぐ所見であるが)今般の選挙結果は民主党が勝ったというより共和党がヘマをした、という面がある。そうだとすると、民主党の(伝統的)あり方がendorseされたと単純に言うことはできず、それは具体的には中道~center-rightの議員ないしそうした選挙区を持つ議員を身内に抱える、ということになる。
そうだとすれば、単純に回帰するとは言い難く、もう少し複雑な政治過程を辿ることになるだろう。
"It's not over"--選挙戦終盤 - アメリカ法観察ノート
「・新政権の政権運営は、初期は安定しない。 」
「・共和党のダメージは深刻。立て直しは困難で、今の大物は総取っ替え位が必要」
http://izw134.blog74.fc2.com/blog-entry-291.html

【関連】

"It's not over"--選挙戦終盤 - アメリカ法観察ノート
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不法行為改革の到達点とロビイング - アメリカ法観察ノート
米国型違憲審査制についての覚え書き - アメリカ法観察ノート
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オーストラリア政権交代 - アメリカ法観察ノート
Roberts Courtの保守傾向 - アメリカ法観察ノート "

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2008.11.01 (Sat)

"It's not over"--選挙戦終盤

お昼過ぎ。
部屋の整理をしていると、アパートの扉が叩かれる。
彼「邪魔してすまん。オバマ陣営のボランティアなんですけどね。」
俺「や、オレ、アメリカ市民じゃないし。」
彼「でもアメリカ人の友達もいるだろ。よろしく伝えてくれよ。まだ終わってないんだ(It's not over)。」

この言葉には心裡にてクスリとしてしまった。大勢はは決まりつつあるように見受けられるが、確かに投票日はまだだ。


今回の選挙戦は、オバマ陣営/民主党が優勢というよりは、マケイン陣営/共和党(*1)の自滅という感もないではない。ペイリンも振り返って見ればイロモノというか一発ネタというか出オチというか。
しかしオバマ陣営もさっぱり選挙戦の手を緩めない。もちろんブラッドレー効果も念頭に置かれているだろうし、より一般的に選挙で圧勝ムードが漂うと有権者が弛緩して案外得票が伸びないというのは日本でも見られる話ではある。
ビラ1・表 ビラ1・裏
アパートでオバマ陣営が配っていたビラ 裏はこう
ビラ2・表 ビラ2・裏a
事前の登録がなくても、当日直接投票所で登録して投票できますよ、だから投票に行きましょう、と呼びかけるビラ 裏はこうだが
ビラ2・裏b ビラ2 ・中
よく見ると民主党のお金で配布されている。
つまりこれも選挙活動の一環な訳ですな。
で中身はこう。
形式的に「投票しましょう」と呼びかけているのは州知事な訳だが、これも民主党知事だからこそできる芸当。


選挙結果が出てからだと後出しジャンケン的になってしまうであろう見立てを、今の内に書いておこう。

・選挙結果の確定においては混乱はない、少なくとも大きくはならない。
2000年大統領選挙があれだけ混乱したのは、大統領選挙人の数で伯仲し、かつそのバランスを傾かせるフロリダで得票数が伯仲したから。
今回はトータルにおいてオバマ陣営が優勢。伯仲する州が幾つか出てきたとしても、選挙人数の過半数を制するかどうかについては決定的な影響を与えないだろう。そうだとすればマケイン陣営は伯仲する州の得票数が確定する前でも敗北を認めざるを得ない。(*2)

無論、個別の投票者から見て、「投票できなかった」「投票がきちんとカウントされなかった」という紛争の可能性は残る。
Both Campaigns Enlist Lawyers to Watch Polls - NYTimes.com
By LESLIE WAYNE
Published: October 27, 2008
http://www.nytimes.com/2008/10/28/us/politics/28lawyers.html?ei=5070&emc=eta1
フロリダにて、弁護士は準備完了。
民主党陣営だけでボランティア弁護士5000人って、日本の弁護士全体の5分の1である。
In a Close Race, Lawyers Will Look at Ohio’s Provisional Ballots - NYTimes.com
By IAN URBINA
Published: October 30, 2008
http://www.nytimes.com/2008/10/31/us/politics/31ohio.html?ei=5070&emc=eta1
オハイオも。

・「共和党の陰謀」はない。
  • これだけ優勢なのにオバマが負ければ→暴動
  • 勝てば→白人至上主義者が暴動・暗殺
→ブッシュは戒厳令を布告
という説があるようだが…これはない。

理由1
この説は人種をsingle outし過ぎている。
人種は重要なファクターだが、唯一のファクターではないし、最大のファクターでもない。(*3)

理由2
この説はブッシュ=共和党=悪者という見方を強調し過ぎている。陰謀論に過ぎる。
共和党(員/政権)にとっても、「共和党」という枠組よりも「アメリカ」という枠組のほうがよっぽど重要。
民主的に選出された重要政治家の暗殺を手をこまねいて見ているとすれば、あるいはそれを口実に非常事態を宣言するとすれば、それこそ「アメリカ」という枠組を動揺させる(「それどこの途上国?」)。これは全力で回避せねばならない事態。
先日の、暗殺計画を練っていた白人至上主義者の逮捕を混乱の先駆けとする見方もあるが、私見からはむしろこれは「そんなことしようとしても十分に抑止可能だ」というメッセージと位置付ける。

特に、11月15日には経済混乱対策のサミットが予定されている以上、これを戒厳令下で行うわけにはいかない。そんな世界中の笑い物になるような自体はいくら何でも避けるはず。


・こうなると注目点は、大統領選よりは議会、特に上院の行方。民主党が(filibuster-proofの)60議席を確保できるか。

・新政権の政権運営は、初期は安定しない。
経済混乱に特効薬はないし、精々「恐慌」を回避して「普通の不況(但し深刻)」になる程度だろう。
民主党が議席を伸ばすということは先日も指摘した通り)内部の多様性が増して足並みが揃い難くなるということでもある。民主党をuniteさせていくようなメッセージ、価値は("Change"という以上には)明確化されてはいない。
他方、あらゆるセクションで少数派となった共和党は安心して批判だけをしていればよい。
有権者の期待も大きければ大きいほど、思ったほど成果が上がらないと失望も大きい。
もっとも、(「恐慌」を回避さえすれば)いずれ経済も自律回復基調に乗るだろうから、そうなると政権運営も安定するだろう。問題は、それが中間選挙に間に合うかどうかである。

・共和党のダメージは深刻。立て直しは困難で、今の大物は総取っ替え位が必要だろう。
2004年の大統領選挙について「今回は共和党。但し、イラク・アフガンの出口戦略が見えず、経済もいずれ失速するのは確実な以上、長期的にはむしろ共和党にとって困難」と見ていて、2006年議会選挙の結果は思ったより早くその見立てが現実化したなぁと思っていたのだが、いよいよ病膏肓に入る。

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2008.11.01 (Sat)

ビジネス方法特許の終焉!?

Techdirt: Court Greatly Limits Software And Business Method Patents
from the huge-victory-for-innovation dept
by Mike Masnick
Thu, Oct 30th 2008
"In the rehearing of the Bilski case concerning the patentability of software and business method patents, CAFC just came out with its ruling that will significantly limit software and business method patents, bringing the rules way back towards what they were years ago, and effectively rolling back some of the earlier, dreadful, CAFC decisions that opened the barn doors towards tons and tons of software and business method patents.
...[T]here's a two-pronged test to determine whether a software of business method process patent is valid: (1) it is tied to a particular machine or apparatus, or (2) it transforms a particular article into a different state or thing."
http://techdirt.com/articles/20081030/1117172691.shtml
In re Bilski, 2008 U.S. App. LEXIS 22479 (Fed. Cir., No. 2007-1130, Oct. 30, 2008)
特許法はよく勉強していないしこの判決もちゃんとは読んでいないのでちゃんとした論評はできないが、記事を信用するとすれば(*1)かなりインパクトの大きそうな判決。
要するに物理的なモノに引っ掛かっていないとダメ、ってことで、事実上ビジネス方法特許を認めなくなったということではなかろうか。

それと、ビジネス方法特許だけでなく、「ソフトウェア」についても言及されているのが気になる。ソフトウェアも(それだけでは)原則特許法の保護はなくなる、ってこと!?(*2)

もう一つ、これがCAFCの判決だってこと。
CAFCは特許権を強化する方向で判断する傾向があると指摘されている(*3)わけだが、それが今回は限定する方向で判断した。
もっとも、最近最高裁が特許権の強さにブレーキをかける方向で判断する例が散見される(*4)から、CAFCも空気を読んだのかも知れない。

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