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2008.07.02 (Wed)

Kennedy's Court?

今年の最高裁は穏やかだ、5:4の判決がほとんどない、と5月下旬の時点では言っていたわけだが、
しかし開廷期が終わりに近付くほどharder caseが目立ってくるわけで、6月に入ると論争的な事件が結構5:4で決着している。
On Court That Defied Labeling, Kennedy Made the Boldest Mark - NYTimes.com
By LINDA GREENHOUSE
Published: June 29, 2008
http://www.nytimes.com/2008/06/29/washington/29scotus.html?ex=1215403200&en=bbfbc8762928a4f9&ei=5070&emc=eta1
毎年恒例、Linda Greenhouseの連邦最高裁開廷期の総括。
前開廷期に比べれば保守サイドの優勢は弱まったように見え、特に連邦statutory civil rights関連≒雇用差別関連事件ではそうだ、と。一言でまとめるのは難しいが、言ってみれば
"It was, once again, Justice Kennedy's court."
だ、というのが彼女の見立て。

これ自体に積極的に異論を述べるつもりはない。
しかしこれではダイナミクスの表層しか見ていないように思う。
私はむしろ、Stevens' courtと見る。何故か。

注目されつつKennedyが5票目を投じて5:4でリベラル・ブロックが制した判決の2件の法廷意見を、Kennedyが執筆している。
グアンタナモをめぐるBoumediene判決(*1)、児童の強姦に対する死刑を違憲としたKennedy判決(*2)

主席裁判官が法廷意見に加わらなかった場合、誰が法廷意見を執筆するかを決定するかは多数派の中で最もシニアの裁判官であり、この場合それはStevensだということになる。そして彼がこれらの事件でKennedyを指名した。

グアンタナモの関連では、軍事委員会による敵性戦闘員の決定を認めなかった2006年のHamdan判決において、Kennedyが5票目を投じることで、法廷意見が構成された(*3)
未成年者に対する死刑をカテゴリカルに違憲とした2005年のRoper判決(*4)において法廷意見を書いたのはKennedyである。
そんなKennedyを、Stevensは指名した。実際Kennedyも、Boumediene判決など、ノリノリである。

このようにStevensが、法廷意見の執筆者を決める権能を使うことで、あるいは自らの投票行動においても、かなり戦略的に動いていたのではないか。
他方、Robertsは判断する論点を限定することで彼のミニマリズムの哲学を実践しようとしていたのだが、必ずしもうまくいっていない。
老獪なStevensが若い(!)Robertsを翻弄した開廷期だった、というのが自分の印象である。

【関連】

D.C.の銃規制は違憲 - アメリカ発祥の地でアメリカ法を思考する
世界の中の連邦最高裁 - アメリカ発祥の地でアメリカ法を思考する
連邦最高裁2007-08年度開廷期の中間評価 - アメリカ発祥の地でアメリカ法を思考する
社会のID:[OL] - アメリカ発祥の地でアメリカ法を思考する
死刑:lethal injection - アメリカ発祥の地でアメリカ法を思考する
Ledbetter - アメリカ発祥の地でアメリカ法を思考する
Roberts Courtの保守傾向 - アメリカ発祥の地でアメリカ法を思考する
Tribe v. Olson - アメリカ発祥の地でアメリカ法を思考する
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テーマ : アメリカ合衆国 - ジャンル : 政治・経済

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